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宝塚歌劇雪組東京特別公演

バウ・クラシカルロマン
『アンナ・カレーニナ』

原作:レフ・トルストイ
監修:柴田侑宏
脚本・演出:植田景子
作曲・編曲:吉田優子・甲斐正人
振付:麻咲梨乃、御織ゆみ乃
装置:和田平介
衣装:有村淳
照明:氷谷信雄
振付助手:麗美花
舞台監督:(株)クリエイト大阪
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:村上信夫
制作・著作:宝塚歌劇団
製作・主催:阪急電鉄株式会社

出演:灯奈美、森央かずみ、美郷真也、美穂圭子、朝海ひかる、悠なお輝、貴城けい、立樹遥、すがた香、夢奈さや、ゆり香紫保、紺野まひる、舞坂ゆき子、玲有希、安城志紀、牧勢海、音月桂、汐夏ゆりさ、夏央小槇、舞咲りん、山科愛、湖城ゆきの、宙輝れいか、真波そら、凰稀かなめ、穂月はるな、華岡らら、藤京子(専科)

日時:2001/8/22(水) 3:00pm開演
会場:日本青年館ホール
座席:B席 2階D列10番 \4,000-(消費税込)

主観星
『アンナ・カレーニナ』:★★★★


ちょうど台風が関東地方へ来る日の公演。
ラジオからは、ジャニーズのコンサートが延期のお知らせが流れてきたりして、少々心配です。
と思いつつも、何の確認もせず日本青年館へ行ってしまったわけで。
中止でなかったからよかったものの、後から宝塚歌劇団のホームページを見たら、ちゃんと公演実施のお知らせが出ていましたね。


それはそれとして、どうだったかと言えば、

まひるさん、きれい!

もとい、作品は、

すごい!

です。はい。
生徒さん達、ストーリー、脚本家さん、作曲・編曲さん、その他もろもろのスタッフさん達と、もうそれぞれで

すごい!すごい!

でした。はい。
終わってからバウ作品だったことに気付きました。
観ている最中なんて、何から何まで大劇場にいる気分で観ていました。

まひるさんファンではあるし、雪組ファンではあるし、他の組の公演に比べたら見知った生徒さんもたくさんいるし。でも、そういう贔屓目がなくても、よい公演と思えると思います。

しかし、chihiroは思い返すたびに

胸が痛くて仕方がない

です。「ぎゅー」っていう感じがします。なんでだ?

 


 

●物語 - 中途半端なネタばれ有りです!

毎度の事ながら、題名以外は何も知りませんでした。
題名(というか、アンナ・カレーニナという単語)はなぜか記憶にありましたが、何の脈絡もなく。
観劇前のパンフレットを読んで観劇です。

ストーリーや映画、バレエ、オペラ作品などの関連情報はGoogle-アンナカレーニナなどをご覧下さいませ。きっと見つかります。

気になったところを数点。


カレーニン(アンナの夫)のアンナに対する極端な態度を見て。
なにか、悲しくなりました。寂しいです。
そして彼の態度や行動がどうにも痛いです。
そして、また悲しくもみえます。

逃げたくもなりますよ。

その一方のヴィロンスキー(アンナと惹かれ合う青年将校)。
あぁ〜、薄っぺらい・・・ぺたぺたです。
この見方は間違っている?
確かにアンナはヴィロンスキーに出会うことで、もう一人の自分を見つけるのですが、じゃあヴィロンスキーはなんなの?


この男性二人、キャラクターが極端なんで、どうもねぇ。
そして、セリョージャ(アンナの息子)がアンナを探して公園をさまようなんて、涙無くして観れません。

でも仕方ないんですよね。
どうしようもないんですよね。

そしてみんな悲しい。

なので、この物語世界では、当たり前のことが妙に幸せに思えてしまいます。
コンスタンチンとキティが結ばれるなんぞは、思わず心の中では「おめでとー!!!」です。スティーバとドリィも・・・ね。
これらのシーンや演出がアンナ達の対極にあることを明らかに印象付けるように展開してゆきます。
これが更に辛さを印象付けます。

物語の最後。
ヴィロンスキーは戦場に向かうところで終わります。
死んで欲しかった・・・自分で死んで欲しかった。
戦場に行き、他動的に死のうなんて許されるの?
下手すると生きて帰って来るつもりなんではないの?
完全に個人的な思いですが、最後のシーンで生きているのが許せなかったです。
途中、自殺にも失敗しているし。死ぬ気無いじゃないですか。
最後に許せないキャラクターに感じられてしまったのは、私が男だから?

なぜ「胸が痛い」のかなぁ〜?と思っていたのですが、やっぱりアンナだけが死んでしまって、結局男連中が誰も死ななかったからでしょうか。
彼女は自殺しましたが、私は「君たちが殺したんだよ」と思ってしまったので、アンナだけが死ぬなんてなんか理不尽に感じられてしまったんですね。

 

アンナが悪かったの?
死ななければならなかったの?
どうなの?
もう少し責任持てよ、おい!

 

この二人がつまらない男に感じられてしまったのに、結局アンナだけが割を食ってしまった?というのがねぇ。なぜか許せなかったです。

そして「あぁ〜、自分もこういうつまらない男なんではないかなぁ〜」などと思ってしまった訳です。

イタタタタ。

カレーニンもヴィロンスキーも極端ではあるけれど、それぞれに男性の心理の一面を表していると思います。
それを女性がどう受け取るのか、というのは人生経験がペタペタに浅いchihiroには想像するまでの知恵も経験もなく。
すると結局、私も「アンナみたいな思いをさせてしまう男」なのではないかと不安になったりして。

イタタタタ。

わかりませんです。
そんなことを思わせる作品です。(笑)

そんなに昔の作品ではありませんが、話の内容は普遍的な内容だと思うので古さを感じさせません。

 

●生徒さん

朝海ひかるさん。
主役ということで、特に注目してみることができました。
今まで「どうにも気になるんだけれど・・・」という引っかかる感じがあった彼女でしたが、やはりその容姿と歌唱力、ダンスや演技など、手堅いものを感じます。
コスチュームが似合います。
あそこまで歌えるというのも驚き。
とにかく理想的な男役です。

とはいうものの、その控えめな雰囲気は今回も同じ。
アピールが弱いのでしょうか?どこか派手なポイントがあると、より印象に残ると思うのですが・・・
専科に行った雪の生徒さん達と比べると、何かしらの「濃さ」が足りないようにも感じます。
朝海ひかるさんならば「こうなる」とか「こうする」というのがもっともっと出てくると、朝海ひかるさん自体にもっと期待して観劇できるようになるんだろうなぁ〜、とも思いつつ。

ヴィロンスキーには軽さ?薄さ?を感じたのですが、その存在感自体が彼女とすごいマッチしていて、自然にみることができました。
(嫌みとか、悪い意味ではなくてね)
カレーニンのかしげさんと対極にあるキャラクターというのを、自然に感じることができます。

 

紺野まひるさん。
アンナ役です。
(chihiroはまひるさんファンです。割り引いて読んでもらってもよいのかも)
演技、とても上手くなっています。
今まではセリフ回しがぶっきらぼうに聞こえていたのですが、今回は自然に聞こえます。

きれいです。
今までも周りからはまひるさんは「かわいい」とか「きれい」とは聞かれていました。しかし私は、容姿に関して観る目が養われていないので「整っているよね」という表現にとどまっていました。しかし、今回は

きれい〜〜っ!

と思ってしまった。
ポスターのセピア調のスチル(写真家さん、デザイナーさん達にも拍手!)もよかったですし、実際のステージ上でも稟としています。
場によって異なる様々なドレスを着てらっしゃいます。
当然どれも

きれいっす!

 

貴城けいさん。
アンナの夫、カレーニン役です。
彼の堅い考え方、悲しさを充分感じさせてくれる演技。
最初は、単に頭が固いお役人というステレオタイプな造形なのかな?などと思いましたが、場が進むにつれて、そのような彼にも様々な悩みや苦悩などがあるというのが伝わってきます。
さすが貫禄がありますね。必ずしも派手な役ではないけれど、存在感は充分感じられます。

 

森央かずみさん。
アンナが夫婦喧嘩の仲裁に行った夫婦の奥さま、ドリィ役。
あの野暮ったい奥さんの演技に拍手。
パンフレットのスチルでは普通なのに、舞台上では見事に老け込みます。
スチルと比較しても、初めは同じ人と思えなかったです。

 

その他、生徒さん皆様、ちゃんと仕事していましたね。
とにかく安心してみていられます。
さすが雪組?って所でしょうか。

 

●演出

スローモーションで心理描写と現実の区別を付けています。
すごくわかりやすいです。
最初、駅でのアンナとヴィロンスキーが出会うところなど。

 

●音楽

楽曲ですが、いわゆる一般的な宝塚オケの編成・楽曲と、クラシック音楽?オケの編成・楽曲の2種類を使い分けています。
主としてはクラシックモードの楽曲が使われています。クラシックのオケの音、楽曲としては至って普通ではあるのですが、「宝塚の作品中では宝塚的な音が流れてくるもの」と刷り込まれてしまっていただけに、このクラシックの楽曲が妙に新鮮に聞こえてきました。
観ていて、音楽が舞台セットと同じぐらいにリアルに場の雰囲気を作るのに役立っていたと思います。
そういう音の、観ている側が明らかに「聞いている」と意識できてしまうのが良いのか悪いのかはわかりませんが、とにかくすごい存在感がありました。

作曲家さんの詳しい担当区分が記述されていなかったのではっきりはわからないのですが、かなりの歌に吉田優子さんの色が見えました(はっきりわからないので間違っているとは思いますが、結構自信はあったりして)。
大劇場作品で聞いた彼女の曲は、大御所作曲家さん達の時代を感じさせる音に対して、非常に現代的な、今時の楽曲を書いているように記憶しています。
それだけに、作品がもつ古い雰囲気を払拭できているように感じます。

甲斐正人さんはオーケストレーションが担当だったのでしょうか?
今回私が知る限りの過去の情報で調べてみてわかったのですが、歌が付かない楽曲を多く書かれているようです。エリザベートでも音楽監督をしているということで、オーケストレーションについての実力がある方なのかも?と想像しています。
となるとこの作品でオーケストラ押しにするとなったときに、やはり必然的に担当することになったんでしょうか。
作品の中でも、オーケストラが持つ能力を最大限に生かした、舞台と絶妙にマッチした音楽展開をしています。この作品にとってこのオケの楽曲が、単にその場に流しておくだけのBGMというものではなくて、舞台と一体化した楽曲として存在しています。

思い返してみれば、確かに歌の部分ではその普通の宝塚の音?になって、クラシック部分ではまんまクラシックしてしまうというギャップも。
きっと別の作曲家さんだろうなぁ〜、とは聞いていて思いましたが、パンフに全く記載がなかったのが残念。
バウのパンフには、そこまでの記述は無かったっけ?

 

●舞台装置

ステージ上には常に円柱が左右に3本ずつ、計6本?ありました。
西洋建築によくある、円柱ですね。それが左右に動いて場を構成しています。
個人的には去年の『凱旋門』の次に印象的に感じました。
ステージの天上まで伸びている柱が、狭いはずのステージの広がり、奥行き、石造りの質感などを効果的に表現しています。
日本青年館の舞台は、いつもは大劇場と比較しての狭さを感覚的に感じていたのですが、それを全く感じさせません。
幕が降りると「あ、青年館だったんだ・・・」と思い返しますが、見ている間は大劇場と同じ広さの感覚を覚えました。

 


 

ま、やや疑問に思う点がないわけでもないのですが、大劇場作品などとも比較しても、充分薦められるだけの内容とクオリティがあったと思います。
バウというと、今までは何処かしら安っぽい感じを持っていました。
大劇場とは違うバウという器を最大限に利用し、宝塚なりの作品を見せるということでは、ここまで力が入った作品は(私は)見たことがありません。
生徒さんから、スタッフの皆々様までお疲れさまでした。

「バウの○○を観た」という印象ではなくて、単に「アンナ・カレーニナを観た」と記憶に残る作品だったと思います。
昨今5つ星連発なのですが、他作と比較するならばオススメ度はもっと上につくでしょうね。

少なくとも「アンナ・カレーニナが観られなかった年」という記憶は残らないわけで。(笑)
C.Nさん、C.Kさんには感謝を。

 

最後に。

まひるさん。
惚れ直しました!
もっともっと上手くなって下さい!
応援します〜!

はいっ!もっと応援しますっ!
がんばってぇ〜!

 

ほなっ!

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