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宝塚歌劇雪組ACTシアター公演

『殉情』
〜谷崎潤一郎作「春琴抄」より〜

原作:谷崎潤一郎
脚本・演出:石田昌也
作曲・編曲:西村耕次
振付:花柳芳次郎、藍エリナ
装置:大橋秦弘
衣装:河底美由紀
照明:安藤俊雄
三味線:本條修太朗
振付助手:朝みち子
装置補:広森守

舞台監督:佐藤昌則
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:村上信夫
制作強力:シアター・ドラマシティ
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:TBS、Hankyu Corporation

出演:絵麻緒ゆう、紺野まひる、萬あきら、箙かおる、飛鳥裕、灯奈美、森央かずみ、早風優、すがた香、夢奈さや、花純風香、汐夏ゆりさ、麻愛めぐる、音月桂、涼花リサ、他雪組

日時:2002/4/1(月) 3:00pm開演
会場:赤坂ACTシアター
座席:前売A席 27列43番 \5,000-(消費税込)

主観星
『殉情』:★★


と、雪組の東京特別公演へ行ってきました。
最近の特別公演はまひるさんがトップに着くことが多かったですから、心の中では普通の特別公演と思っていましたが、このステージが

雪組新生トップ
お披露目!

だったわけですね。
直前まで公演開始を忘れていたというていたらくではありましたが、チケットぴあでぎりぎり残っていたチケットをゲットして、赤坂ACTシアターへ。

観劇前、この作品『殉情』に対する印象は、かならずしもぱっとしたものはありませんでした。

なに?このポスター?

って程度のもの。特に

「なぜまひるさんはうつむいているの?」

なぜなぜ?といった具合。
再演物、かつ原作物のようでしたから、もしかしたら有名なのかもしれません。しかしながら、私の中には

「どうなんだろう・・・」

最後は例によって「和物か・・・」という一抹の不安は残りつつ劇場へ向かったのであります。

 

ACTホールに入って一言。

「1000days劇場が懐かしい・・・」

そう、この劇場、なんだか仮設小屋というかプレハブ小屋というか、なんかそこかしこにそういったニュアンスが感じられるわけです。
私の歌劇初体験が1000days劇場でしたから、特にそう思うのかもしれませんが。
東京宝塚劇場の最新の綺麗な劇場、東京青年館のような年期の入った劇場、そして古くはないんだけれど即製感満点奈な作りのACT。

 

と、この今回の『殉情』ですが、

「(泣)!」

もうこれだけです。
ラストにがつんとやられておしまいです。はい。

「とにかく最高!」

再演物&原作物らしいのですが、そういう前提が無くてもわかりやすいですし、いい感じです。
皆さんの役もはまっていますし、物語の背景もわかりやすいです。
この舞台の中では、見方によっては主人公のふたりが一番地味なのかもしれませんが、その主人公が地味であるからこそ、あのラストが引き立つのでしょう。

ちょっと昔の話ではあっても、単に昔の話にしてしまうのではなくて、狂言回しとして現代の一組のカップルと老考古学者が、現代と当時との時代背景の違いを簡単に説明したり表現してくれるので、更にわかりやすくみることができたのかもしれません。

 

物語の触りを極々極々簡単に。
時代は明治初頭。
佐助(絵麻緒ゆう)は薬問屋に奉公に来ている。
その薬問屋の娘お琴(紺野まひる)は、佐助が奉公に来たときには既に目が見えなくなっており、佐助はお琴が三味線が稽古へ通う際の手引きもしている。
佐助はお琴を慕いながらも、一奉公人として使えようとし、お琴も佐助との立場の違いから素直に振る舞えない。

と、かなり簡単すぎますが、まぁ、こんなところで。

ラストが印象的なんですけれど、佐助の気持ちもわかるけれど・・・でも春琴の気遣いも見れたし。
見ていてなんか不思議な感じはしますけれど、あのぐらい極端な状況にならなければ難しいのかなぁ・・・

 

奉公人の佐助役、絵麻緒ゆうさん
雪の前回の公演でやっと存在が認識できてきた彼女ですが(chihiroにとってですね)、今回は一見地味な役柄ながら安心の存在感で好感。
佐助の実直さ出てていいです。
生真面目、という様な。そんな真面目さが最後になって涙を誘うというか。
なにか切ないし。

 

お琴、春琴(しゅんきん)役の紺野まひるさん。
佐助に対する接し方の不器用さ、ぶっきらぼうな感じが上手いこと出ています。
物語中には、おいおいって突っ込みたくなるぐらいの勝手ぶり?も見られますが、そのお琴の素の感じが微妙にいいです。
この調子で最後まで引っ張って、最後に佐助にかけたセリフで、

あ、いいなぁ・・・

って。気ぃ遣っているなぁ、というのが感じられて。

まひるさんの演技が上手くなった、というよりは、やりやすい役なのかも?
こういう、ちょっと強気な感じの役の方が自然にみることができるのは、私の中のイメージがそういうようになってしまっているからなのか、彼女の演技がそういう傾向を持っているからなのかはわかりませんが。
どうなんでしょうね?
春琴のどこか上品で、それでいて強気な感じは、印象ピッタシ。

 

春琴に言い寄ろうとする、ボンボンの道楽息子?利太郎役は箙かおる(えびらかおる)さん。。
雅な風情で、大阪弁?を話し、舞台上をゆらゆらしています。
濃ゆいです。(笑)
上手い方ですねぇ。

 

 

 

以下ネタばれ系でおねがいいたします。

 

春琴が弟子を教えるときに、三味線のばちで殴る?こと。

見ていて、こんな春琴って、ちょっとどうなんだろう・・・

と思っていましたが、これがラスト引っかかってくるので、納得。

 

何者かが春琴の顔に大やけどを負わせ、春琴の、佐助には顔をみられたくないという言葉を聞き、佐助も盲目になるというラスト。
佐助が自ら目に針を刺して盲目になり、聞こえてくる苦痛をこらえる声に春琴がどうしたのかと尋ねる。

「ただ今佐助は、めしいになりました」

と絞り出すように発するセリフ。
それに春琴が

「痛かったでしょう・・・」

というと。(確かこんな感じのやりとり)

それまで、何か微妙に続いてきた緊張感が一気に溶けて、「よかったねぇ〜」とは間違っても言えないけれど、佐助、春琴に妙に感動。
単なる状況としては良かったのか悪かったのかよくわかりませんけれど、とにかく(泣)、というわけで。
それまで立場的にそうそう崩そうとしても崩せない主従関係のようなものが溶けたというのを見せられたからかもしれませんが。

とはいえ、なかなかに辛いわけで。

(泣)

 

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