宝塚観劇日記

こんにちわ。
ここでは、私(chihiro)が観てきた宝塚歌劇&舞台&映画作品について感想をまとめています。

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8月 2008
         
           

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トップページ > diary > Troupe_Flower > 花組東京特別公演「舞姫」観劇
2008/03/20 (Thu)

花組東京特別公演「舞姫」観劇

2008/3/19のソワレ、花組東京特別公演「舞姫」を観てきました。

えー、とっ、と、と、とっ、

とっっっっっっっっても良かった!

二人が出会った瞬間からの幸せな時が、 漠とした、どうにもならない時代の流れに飲み込まれてしまう、そして...

あぁ、やばいっすよ、 なにせ、今も、パンフレットの写真を観ただけで

泣けてくる

ってのはもうダメでしょう。
もう、帰りの電車の中でも呆けていました。

と言いつつ私は、森鴎外の舞姫については全く読んだこともなく、 そもそも題名と適当な概略程度しか知らず。
今回の植田さんの脚本がオリジナルに比べてどうとかいうのは全くわからないですけれど、 この舞台の「舞姫」という作品については、とにかく、

音楽から脚本まで
完成されたミュージカル!

でした。
ダイナミックな展開が、最初から最後まで大きな流れで包み込んでいます。
音楽と本も良く融合していて、ミュージカル作品として作りこまれています。
なんで帝劇でやっていないんだろう、という雰囲気もしつつ、これは追って。

土壇場でも観に行けて、本当に良かったです。
ほんとに、観れて良かったぁ〜
パスしてたら、どうにもならんかったです。

で、再演はいつですか?>宝塚歌劇団様

以下、作品のネタばれ的内容の記述がある可能性があります。
あらかじめご了承の上、お読みください。

物語(というか、感じたこと)

物語概略は以下のリンクから。

改めて。
私は森鴎外の舞姫については全く読んだ事はありません。
今回の舞台から感じた事を書きます。

表向き太田豊太郎はひどい、と言えば簡単なのかもしれませんが、 実際は時代なんだろうなぁ〜、と理解しました。

いや、これは、豊太郎が良い悪いという話ではなくて、 時代や国家という個人では抗えない大きな流れの中で、 翻弄される人々の姿を、豊太郎とエリスに映しているのではないでしょうか。

国家と軍人、国家と個人という関係では、 そもそも豊太郎に帰国するしないの選択肢などなかったんじゃないか。
豊太郎が自ら帰国を選択していますが、 それがエリスに愛想が尽きたなんていうことはあるはずもなく、 その国家としての要請を断ることなどできやしないことや、 その目的達成の為には、 どのような謀略(と言うほどの事かはわかりませんが)もやってのけるだろうという想像がされたからでは?
元々軍人だったというところからも、国家に殉じるを身をもって知っているからこそ、 最も悪くない選択肢として、日本に帰国するしかなかったのでないかと思った。

相沢からエリスに、豊太郎が自ら帰国する意思である旨伝えられ、エリスがショックを受けるのも、

相沢!わかってて やったんじゃないの!!!

いや、これは

絶対わかってやっているだろ!!!

としか見えなかった。

病院での別れのシーンで、豊太郎が思いの他淡々としているように感じた。
豊太郎自身も自身抗えない大きな力の前にあり、なす術はない。
エリスに対しても、非常に不幸な結末ではあったにせよ、 彼女が幸せな時を過ごしていてくれるならば、 と納得せざる得なかったのではないかと。
(書いててイヤになるけれど、そう理解しないと納得できない)

ちょっとヒートアップしてしまいました。 以下、印象的な場をいくつか。

第1幕 第5場
豊太郎とエリスの出会いの場。
序盤の華やかな舞踏会のシーンから、 徐々に細路地に入って行くように暗くなってゆきます。
いきなり暗くなった。

第1幕 第7,8場
芳次郎のアトリエにて、豊太郎がエリスについて語る場。
公園で、扇をプレゼントして、舞を教える場。
この7-8場が、一番幸せ。
エリスがもうね、ピュアすぎ。天真爛漫してます。

こんな幸せな事なかった、みたいな事をいうわけですよ。

もう、ため息。

第1幕 第10場
第1幕の〆、豊太郎免官の場。
第1幕の終わり、演出がダイナミック。
音楽や歌の重ね方が、レミゼですがね。
そのぐらいダイナミック。

このダイナミックさが、これからの苛酷な展開を暗示すると。

第2幕 第2場
エリスと豊太郎が同居始めているシーン。
豊太郎が、ホテルで天方と合うという手紙を受けて、 エリスが豊太郎が恥をかかないようにって。 幸せなんですけれど、不思議な緊張感に、どうにも落ち着いて観てられません。

ここら辺から、エリスのちょっとしたしぐさが、影を帯びてくるんですよねぇ〜

第2幕 第5,6場
豊太郎が天方のロシア行きへ同行することになり、帰りを待つエリス。 そして舞台には、帰国を待つ清も。

しかし、エリス健気過ぎます。もう、痛いです。
その健気さが、すでにここで切なく見えてきます。

第2幕 第7場
画家の芳次郎が病気で伏せっているところへ豊太郎が。
芳次郎がドイツ語を話せなくなって、豊太郎と日本語で語り合っている間、 マリィが部屋をそわそわしつつ心配そうに離れて待っている姿に、

涙が...

マリィがそれまで、快活に見えていただけに、この場での取り乱しようと、 最後に芳次郎と会話もままならなくなってのどうしようもなさがが、 二人が話している間は離れての動きに過ぎないマリィの姿に

また涙が...

第2幕 第8,9,10場
最初に書いた、豊太郎の帰国の決意と、相沢からエリスへの告知、病院のシーンへ。
もうね、もう、どうなのよ、っていう。
この流れを単に個人の決断がどうとかだけで、どうにか出来たなら、こんな結末はないでしょ!!!!!とちょっと興奮。

第2幕 第12場
第11場で帰国して、日本の近代国家への礎が築かれて、ちょっと現実に帰ってきた感じのところに 第12場で舞台奥で下手寄りに、真っ白な衣装のエリスが...

あ、涙...

もうね、パブロフのなんちゃらですよ。
あー、もうね、もういいですよ、もう、あーーーー

こんな具合でフィナーレへ。 すごい拍手した。 そして、ため息と涙混じりのカーテンコールでした。

生徒さん

主人公、太田豊太郎役の愛音羽麗さん
安心ですね。
歌も情熱的に歌われていて、好感です。 ピッチがきつい場面もありましたが、 それ以上に訴えてくるものが感じられて、良かったです。

ヒロイン、エリス・ワイゲル役の野々すみ花さん
無垢な印象というか健気さというか、 時々かいま見える目尻の微妙なたれ具合というか、 あー、もうっ!っていう感じを最初から最後まで徹底して演じきって下さいました。
歌もダンスも申し分なし。

豊太郎の旧友、相沢謙吉役の未涼亜希さん
スマートなお顔だちで、かっこ良い方ですね。
なんというか、バイプレイヤーとして未涼さんのような方が脇を固めていると安心、 というような印象。

役柄からすると、見方によっては彼が豊太郎とエリスを積極的に別れさせようとしているのだが、 彼が悪いように見えないのは、 それまで豊太郎の苦境のときも彼を思っての行いがあるからでしょう。

日本人画家の原芳次郎役華形ひかるさんと、恋人マリィ役華月由舞さん
ストーリーとのかかわりかたがちょっと見えにくい二人でしたが、 見せ場では立派に仕事してくれていました。

細菌学を学ぶ岩井直孝役の日向燦さん
少々重い話の中で、唯一のボケ役というか、 ほっと休まる瞬間を与えてくれる岩井直孝役の日向さん。
笑いが漏れるのは決まって彼の出番ですからね。 下手をすると空気を壊してしまわないか難しい役柄だとは思いますが、 最後まで浮かずに演じていただきました。

脚本・演出・音楽

さて、今回の作品は、作品自体に力があると感じたのですが、これは、

植田景子さんと、甲斐正人さんの
コンビ力にあるに違いない!

と思って。
見返してみると、自分でもなるほど、と思った。
この二人ならば、ドラマチックなミュージカル作品になる訳です。

脚本、演出の植田景子さん。
彼女の脚本演出観た作品では「アンナ・カレーニナ」(観劇日記 2001/8/22)「ルートヴィヒII世」(観劇日記 2001/3/16)があります。
基本あまり明るい展開ではなく、 どちらかというと、ぐーーーーっと、運命に翻弄される作品。
今回も、ダイナミックな流れは健在。

そして、

甲斐正人さん、あなたは職人だ!!!

今回の作品が、ミュージカル作品として成立するにあたって、 甲斐正人さんの職人芸ともいえる作曲、編曲の技は欠かせなかったでしょう。

音楽の流し込みかたや、歌への導入など、いわゆるミュージカルサウンド。 帝国劇場で観ているのではないか、と誤認させるのもそのはず、エリザベートでも音楽監督されていますし。

「アンナ・カレーニナ」の時に書いた甲斐さんの感想が今回も非常にしっくりきます。

作品の中でも、オーケストラが持つ能力を最大限に生かした、 舞台と絶妙にマッチした音楽展開をしています。 この作品にとってこのオケの楽曲が、 単にその場に流しておくだけのBGMというものではなくて、 舞台と一体化した楽曲として存在しています。

「アンナ・カレーニナ」(観劇日記 2001/8/22)

その甲斐さんのサウンドは、ミュージカルとして求められているサウンド、 そしてセリフと歌と音楽を融合して行くという点で非常に上手く出来ていたと感じました。
これは、きっと甲斐さんらしいオリジナリティ、というよりは、

音楽職人としての技!
ここに極まれり!

と感じます。まぁ、職人です。
甲斐正人さん、感服いたしました。

舞台

主に、上手側、下手側に3枚ずつ水平の立て板。
そして、上手側、下手側1枚ずつスライド式の床。

上手下手の3枚ずつ水平の立て板を上手くスライドさせて、 場の転換や、人物の登場に使われていました。
スリットが舞台を左右するので、 見える部分、見えない部分が動的に変わって、場の転換が非常にスムーズ。
場が展開してゆくことがあまりに自然で、切れ目がわからない事も。

この水平の立て板は、主に西洋的な壁面なのですが、 その中に川のように流れる日本的な文様が描かれています。
場面によって照明で強調させる事で、日本的な場面にもそのまま転換。

シンプルながら、動的に場面が変わる舞台装置でした。


と、ここまで書いて、思い返しても、ため息しか出ません。
皆様ありがとうございました。
そして、お疲れさまでした。


花組東京特別公演『舞姫』-MAIHIME-

原作:森鴎外「舞姫」
脚本・演出:植田景子
作曲・編曲:甲斐正人
振付:御織ゆみ乃、若央りさ
装置:新宮有紀
衣装:静川孝子
照明:氷谷信雄
音響:大坪正仁
小道具:今岡美也子
効果:木多美生
演出助手:上田久美子
音楽助手:名和克浩
衣装助手:井上美佐子
舞台進行:森田智広
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:高田健司
制作補:原田豊浩
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社

太田豊次郎:愛音羽麗
エリス・ワイゲルト:野々すみ花
太田清:舞城のどか
相沢謙吉:未鈴亜希
原芳次郎:華形ひかる
マリィ:華月由舞
ドクトル・ヴィーゼ:紫峰七海
岩井直孝:日向燦
黒沢玄三:白鳥かすが

[専科]
天方伯爵:星原美沙緒
ローザ・ワイゲルト:光あけみ
太田倫:梨花ますみ

会場:日本青年館大ホール
日時:2008/03/15 18:00-
座席:B席 2階G列49番 \4,000-

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Posted at 2008/03/20 20:10 in /diary/Troupe_Flower
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